***
バタンッと扉が閉まる音。
同時に、後ろから大きな暁生先輩の身体に包み込まれた。
あれからカラオケを2人で抜け出して、連れてこられたのは暁生先輩の部屋。
「えっと、暁生先輩……っ?」
名前を呼んだら
もっともっと、強く抱きしめてくる。
な、何これ……なんでこんなふうに抱きしめられちゃってるのか意味わかんない。
「う、うぅ……、そんな強く抱きしめたら潰れちゃいそうです……」
「……杞羽に避けられて死ぬかと思った」
「死ぬなんて大げさ……です。そ、それに先輩は別にわたしじゃなくてもいいじゃないですか……」
さっきまでの勢いはどこへ行ったのか、今は声がとても弱々しい。
「……なんでそう思うの?」
「だ、だって……菜津さんのこと……」
「菜津がどーかしたの」
「どーかしたのって……」
え、いくらなんでも鈍感すぎない…?
フツーに家に泊めたりしてるじゃん…。

