ただ軽く触れるだけ。
唇が重なったのは本当に一瞬だったのに、離れる時がスローモーションみたいに映って。
至近距離で、視線は絡んだまま。
「ま、また……好きでもないくせにキスしないで……っ」
手で唇を擦ったら、
その手はあっさり拘束されて。
「……好きだからしてんのに」
「へ……っ」
不意に伝えられたせいで、まさかこんなあっさり言われるなんて思ってもいなくて。
思考がショートして、
大袈裟かもしれないけど少しの間、息の仕方がわかんなくなって。
「……俺の気持ち全然わかってない」
「は、はい……っ?」
「とりあえずそんな可愛い姿、他の男に見せたくないからここ抜けよ」
いきなりすぎる展開にまったくついていけない。
ってか、気持ち全然わかってないって、わかるわけないじゃん……っ。
ちゃんとわかりやすく言葉にしてくれないとわかんないもん……。

