ドキドキするなって自分に言い聞かせるけど、目の前にいるのは顔だけはかなり整ったイケメン。
性格は除いて。
男の人にあんまり免疫がないから、こうして近くで見つめられるだけで耐えられない。
「へぇ……なかなかいい顔するじゃん」
「へ……?」
「嫌いじゃないかも」
「は……い?」
ダメだダメだ騙されるな……!!
イケメンの仮面に惑わされちゃダメだ…!
「なんなら困らせて泣かせたいかも」
な、なんだこの人……。
わたしが想像してる100倍以上ヤバい人かもしれない。
「あ、ありえないです……っ!!」
「……っと、乱暴だね」
目の前の先輩のネクタイをグイッと引っ張ってやった。
そのまま先輩が少しバランスを崩して、壁に両手をついたせいでさらに逃げ場がなくなる始末。
「もしかして泣かされたい?」
「んなっ!!」

