結局、暁生先輩の言葉に何も返すことができなくて。
呆れてそのまま帰ってくれたらよかったのに。
なぜか一緒に帰ることになってしまった。
ようやく下駄箱から出て、門のほうへと隣同士並び歩くけど特に会話なし。
なんでこんなこじれちゃったんだろう。
わたしも気持ち伝えなくて悪いところもあるけど、それ以上に好きでもない相手にキスとかする先輩のほうがもっと悪い。
目線はずっと自分のローファーに落ちたまま。
きっとこのままマンションに着くまで、この状況は変わらないと思った。
「あっ、暁生いた〜」
━━━━━━この声を聞くまでは。

