もう無理って意味を込めて、ゆっくり目を開けて首を横に振る。


すると、離れるのを惜しむように、わざとチュッてリップ音を立てて離れた。


でも、顔の距離は近いまま。

お互いの息が至近距離でかかってピクリと動いてしまったら、また唇が触れちゃいそうで。



「……ここで止まってほしい?」


「止まって……くれなきゃ、困り…ます」


「んじゃ、俺の言うこと聞く……?」


いったい何を言われるんだろうって思ったけど、今ここで聞かないって言ったら先輩は止まってくれないと思う。


だから。



「き、聞けることなら、聞きます……から」


従順すぎるんじゃないって思ったけど、今ここで聞くっていう以外の選択肢なんてない。


暁生先輩も、わたしがイエスと言うのをわかっていたかのように、片方の口角をクイッと上げて笑った。