すると意外とすぐに既読がついた。
何か聞かれるかなって少し期待してた。
誰と一緒とか、何時ごろ帰ってくるのとか、杞羽がいないと嫌だとか。
何かしらそんな言葉を期待してたけど、それはあっけなく崩されてしまう。
【ん、わかった。
俺も今日帰り遅いからいーよ】
反対にこっちが聞きたくなった。
誰と一緒なのか、遅いって何時ごろなの……とか。
……って、なんでわたしがそんなこといちいち気にしてるの?
別に暁生先輩が誰といたって、こっちには関係ない話なのに。
既読をつけて、これ以上返信ができなくて画面を見つめたまま固まる。
そして気づいたらメッセージの明るい画面から真っ暗の画面になっていた。
「おい、どーした。急にそんな暗い顔して」
千里に声をかけられてハッとした。
えっ、わたし今そんな暗い顔してる?
「い、いや……なんでも、ない」
あわててスマホをポケットの中にしまいこんだ。

