昔はよく家族や千里と食べに行ったりしていた。
けど、一人暮らしを始めてから一度も実家のほうに帰っていないので、そこのパンケーキも食べられていない。
「せっかくタダで食べられるチャンスなのになー?」
「うぬ……っ」
人間タダって言葉に異常に弱いような……。
頭の中に甘いホイップクリームが山盛りにされた、ふわふわのパンケーキがボンッと浮かぶ。
「まあ、悩んでる時点で行くしかないよな?」
「うぅ……パンケーキ食べたら帰るもん……」
こうして、パンケーキの誘惑に勝てず、学校を出て実家のほうへ帰るため駅へ向かう。
帰りはそんなに遅くならないはずだけど、先輩のごはんの支度はできそうにないからメッセージくらい入れといたほうがいいかな。
【友達とパンケーキ食べてから帰るので今日は晩ごはん作れません、ごめんなさい…!】
あえて千里の名前は出さずに送信。

