「きょ、今日は暁生先輩用事あって、一緒に帰れないだけ…だもん」
無いなりに知恵を振り絞って考えた言い訳。
もしかしたら嘘ってバレるかもしれないけど、今はとりあえずこれで乗り切るしかない。
「ふーん。ならちょうどいいわ」
「えっ、ちょうどいいって」
「今からウチに帰るぞ」
「ウチって??」
頭の上にはてなマークを浮かべるわたしにお構いなしで腕をつかんできて。
「決まってんだろ。杞羽を連れ戻しに来た」
「は……はぁ!?えっ、やだやだ家には帰らないんだから!!」
つかまれた手をブンブン振って抵抗するけど、全然敵わなくてビクともしない。
「家の近くのパンケーキ屋でパンケーキ奢ってやるって言っても?」
「うっ……」
食べ物で釣るなんてずるいし卑怯だよぉ……。
わたしの実家の近くにあるパンケーキ屋さんはとても美味しくて有名なお店。

