「とか言って寝てる間、俺の手離さなかったくせに」
「へ……っ?」
「なんか熱にうなされてたから、頭撫でてあげたらそのまま手つかんできて離さなかったし」
う、うそ。
まさか寝てる間にそんなことしてたなんて。
「ご、ごめんなさい……」
「いーよ。杞羽に手握られるのも悪くないし」
とか言うけど、わたしだけじゃなくて過去に他の女の子の手も握ってきたくせに……なんて思うのはひねくれてるのかな。
わたしなんて、先輩が相手にしてきた女の子の中で、ほんのごく一部にしかすぎないのに。
やだな……って思った。
先輩の手に触れるのは、わたしだけでいいのに……なんて。
前まではこんなこと思わなかったのに。
な、なんかこれだとわたしが先輩のこと好き……みたいじゃん。
そ、そんなわけないそんなわけない……!!

