自分の部屋のベッドまで運んでもらえた。
ベッドの柔らかさは心地いいはずなのに、なんでか先輩に抱っこされてるほうが心地よかった……なんておかしいのかな。
先輩の温かい体温から、急にベッドの冷たいシーツの上に乗せられてちょっとさびしい。
……なんか、風邪のときって人に甘えたくなったり、人がすごく恋しくなったり。
だから、だるくて今にも意識が飛びそうなのに、手が自然と暁生先輩のほうに伸びていた。
「なーに、この手」
今わたしが頼れるのは……暁生先輩しかいない。
「そばに……いてくれない、ですか……?」
自分でもびっくりするくらい、か細くて甘えたな声。
「へぇ……そばにいてほしいの?」
「先輩しかいない……から」
自然と言葉が出てきたのは事実だけど、なかなか大胆なことを言ってるから、そこは素直に聞いてくれたらいいのに。

