暁生先輩がベッドから身体を起こして、優しくわたしの頬とおでこを触った。


「……うわ、あつ。もしかして熱あるの?」

「あり、ます……」


「寝てなきゃダメじゃん」


「だって……暁生先輩のこと起こしてあげないとって思って……。電話しても出ないし、だから……」


ダメだ、喋るのもダルい。
喉もさっきよりもっと痛いし。



「あー……わかったわかった。
無理して喋んなくていいから」


「ぅ……ごほっ……」


「んじゃ、わざわざ俺のために来てくれたってことね。ごめんね、無理させて」


珍しい……。
暁生先輩が謝ってる。


あれかな、わたしが弱ってるからいつもみたいな調子になれないのかな。


「とりあえず部屋まで抱っこしてあげるから」


そう言うと、優しく抱っこしてくれた。

簡単にひょいっと抱き上げて、普段の暁生先輩からは想像できないくらい力があった。