「ホントにただの幼なじみ?」
「も、もちろんです」
千里のことはかっこいいとか思ったりはするけど、男の子としての好きとは違う。
どちらかといえば、家族に対する好きと同じ。
「でも、木野クンは杞羽のことただの幼なじみとして見てないよね」
ちょっと怒ってる。
いつも口調とかそんなに強くないのに、今は少し強い。
「千里は過保護なだけで。わたしのこと幼なじみとして大事にしてくれてて。きっと、恋愛感情なんて持ってな……」
「……杞羽のそーゆー鈍感なとこムカつく」
いつも崩れない表情が、
不機嫌そうにあっけなく崩れたのが見えた。
同時に、また首筋に顔を埋めてチクッと痛かった。
「お、怒ってる……んですか?」
「別に怒ってない」
嘘つき。
あからさまに機嫌悪そうなのに。
先輩は普段あんまり表情からは感情を読み取らせてはくれないけれど、機嫌が悪いときはとてもわかりやすい。

