「……っ!!」
わたしはその場に固まったまま動けなかった。
なにが起こっているのかわからなかった。
さっきの言葉も、その弱々しい声も。
いつもの意地悪でドSで自己中なあいつとは程遠くて、一瞬別人かと思ったくらいだった、のに。
────ゆっくりと顔を動かしてわたしの瞳に映ったのは。
わたしの瞳を、じっと見つめて。
想像以上に切なげに悲しげに寂しげに、弱々しい表情をしたあいつだったから……───
これは…、だれっ……?
そんな心の声が頭の中を埋め尽くす。
わかってるっ……わかってるのっ。
これが“桐谷 慎也”という人物だということはっ…
ただ、わたしは知らないよっ……
そんなっ、そんな顔をする、あんたなんて……っ。
今までで一番心の中がぐちゃぐちゃになる。



