あんたは変わらず余裕だよね。
「……ホント、ずるい」
思わずぽろりと心の声が漏れた。
「はぁ?なんだよ、ずるいって」
ものすごく小さい声だったから聞こえてないかと思ったのに、距離が近いせいか聞こえていたみたいで。
意味がわからないというように眉を潜めているあいつ。
「…別に、わからなくていいよ。っていうか、ずっとわからないままでいて」
もうこれ以上、わたしがわたしじゃなくなるところを見られたくない。
絶対にからかわれるだけだなのは目に見えているし。
「お前は……、本当に俺のことが嫌いだよな……」
しばらく間をあけてからとても弱々しく掠れた声で吐かれた、その言葉。
それは元々暖かくないこの狭い空間の温度を間違いなく一度は下げたと思う。



