……だから、やめられないの。
本当はあいつのお弁当を作る時間分くらい仕事の時間にあてないといけないのに。
なんとなくあいつのあの顔が見たくて、気付いたら得意でないはずの朝もちゃんと時間通りに起きてちゃんと二人分のお弁当を作ってる。
前までのわたしだったら、絶対こんなことありえなかったのに。
沙莉にも言われた。
『最近、あいつのことを見かけても前みたいにあからさまに嫌な顔したり大嫌いだって言ったりしなくなったのね』
って。
わたしは驚いた。
だって沙莉に言われるまで気づかなかったの。
でも、言われてみたら確かにその通りで、動揺を隠すことができなかった。
しかも、自分でもどうしてかわからないから余計に。