───あれ、そういえば。
「…ねぇ、そもそも。あんたって最初からわたしのこと気に入ってるみたいなこと言ってたけど、わたしなんかのどこを気に入ったわけ？」
飽きないっていう単語で、今、急に思い出した。
あのときほんのちょっと気になったんだけど、それどころじゃなくて聞けなくて、今のいままですっかり頭から抜けていたんだ。
「………」
「………？」
「………慎也」
「………はい？」
「だから、俺のことは慎也って呼べって言ってんの。お前、はじめに俺のことフルネームで読んでから俺の名前一度も読んでないだろ」
眉を潜めていかにも不機嫌そうにしているあいつ。
「っ……」
そんな、今さら。
別に今まで言わなかったくせに、いきなりそんなこと言うなんて。
