……っ、ダメ、死にそう。


耳元で話すからくすぐったいし、なんだかあいつの声がいつもより甘く聞こえて。


思いっきり「この変態ーーっ!!」って叫んでやりたいはずなのに、体に力が入らなくて…、それが、できない…




悔しい……悔しい、すごく悔しい。


こんなの全然わたしらしくない。


いくら顔がよくても好きでもないやつにここまで反応してしまうなんてっ。


真っ赤な顔をこれ以上もう見られないように素早く両手で顔を覆う。




だけど、やつはそんなわたしの様子にいつものようにクスクスと笑っている。


「ホント、お前といるとマジで飽きない」




……飽きて、いいのに。


わたしは心の中でそっと呟く。


むしろ、わたしがわたしじゃなくなっちゃう前に飽きてほしい。