それだけでも信じられないのに、もっと信じられなかったのは、わたしがバッと顔を上げたとき、あいつが一瞬、ほんの一瞬だけ…




───わたしとお弁当を交互に見て目を細めて微笑んだんだ。




普通の人だったら見逃してしまうくらいの一瞬。


それをわたしが見逃さなかったのは、多分、“お兄ちゃん達のせい”、かな…




それにしても、こいつ、そんな顔もするんだ……。


いつも人をからかってばかりで意地悪な表情しかしないんだと勝手に思っていたから、なんというか……、うん。


すごく心臓に悪い。


さっきから何度も言っている気がするけど、顔“は”かっこいいからね…




「……どう、いたしまして。凝ったものは作れないけど、 栄養バランスのいいものなら作れるよ」


ママとしーくんの料理ノートを借りて、わたしも一通りは勉強したから。