なぜなら、あいつがニヤニヤしながらわたしの方を見ていたから。
「…へー。俺のために作ってくれたんだ?」
「…っ、ち、違うもん…っ」
「なに、違うの?」
「…!?ち、違わない、です……」
あいつが急に顔を近づけてきたせいで思わず認めてしまった。
わたしは赤くなった顔を隠すように俯く。
……これだから、無駄に顔がいいこいつはずるい。
わたしが口論でこいつに一回も勝てないのはそのせいもあるんじゃないかとと思う。
やっぱり神様は不公平だ。
「……里桜」
「……なによ」
わたしはムッとして素っ気なく言葉を返す。
「……ありがとな、弁当。マジで嬉しい」
「………っ」
…………
…………
……ウソ、でしょ。
いつも偉そうで上から目線なあいつが…、わたしにお礼を言った……?



