* * *


“負けず嫌い”


それは小さい頃からよく言われてきた言葉で、わたし自身も自覚している。


そしてその負けず嫌いはここでも発揮された。




「…は、なに。これ、俺にくれるの?」




───昼休み。


相変わらずわたし達二人しかいない資料室のこの空間。


わたしは、今朝作って持ってきたお弁当を仕事と休日があって数日ぶりに見る目の前のあいつに無言で差し出した。




「…べ、別にいつもより早く起きたから時間に余裕があって作りすぎちゃっただけで、あんたのために作ったわけじゃっ…、」


…って、なに言ってんだ、わたし…!


これじゃ、こいつのために作ったって言ってるようなものじゃんか…!


そう思って慌てて口を塞いだけれど、もうすでに手遅れだった。