───頭がおかしくなちゃった、か。
……わかんないよ、そんなの。
元々顔は笑っていても目が全然笑っていなくて、腹の中ではろくなこと考えてないんだろうな、とは思っていたけど。
あいつに秘密がバレた日から、一緒にいればいるほどあいつがなにを考えているのかわからなくなった。
───でも、それ以上に。
あいつに対する無意識なわたしの気持ちや行動の方が、もっとわからない。
認めたくないけれど、心のどこかで微かに感じている。
このままあいつといれば、今よりももっともっとわからなくなっていくんじゃないかって。
だってわたしは今、完全にあいつのペースに飲まれてしまっているんだから。
もちろんこれも認めたくなんかないに決まっているけど、どうあがいても事実なんだから認めるしかない。



