それでもここでごまかしても、いつもわたしより一枚上の沙莉には通用しないということは十分わかっているので、おそるおそる口を開いた。
「あ、あのですね…、あ、あいつに、お弁当をつ、作ってきてしまいました……っ」
「………」
「………、」
「…………は?」
多分丸々一分は道端に立ち止まったまま固まっていたであろう沙莉は珍しく間抜けな声を漏らした。
けれど、サッと一瞬で真剣な顔に切り替わったかと思うと、本気のトーンでこう言ってきた。
「…里桜、あんた……頭おかしくなった?」
……普通に考えたら親友に言う言葉じゃないよね。
だけど、わたしがあいつのことを姿を見るだけでも大嫌いだということを知っている沙莉からしたら至極当然な反応だと思う。



