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「はあ〜〜。疲れた……」
あの後、ショッピングモールを出たわたしと柊にぃは近くの喫茶店に来ていた。
ここは柊にぃの知り合いの方がオーナーだということもあり、柊にぃとここに来ると必ず個室に案内してくれる。
もちろん今日も柊にぃが名前を名乗ると、すぐにここに案内してくれた。
「……ほんと。あれだから女って嫌なんだ」
柊にぃも柊にぃで顔には出さなかったものの、先程の女性達の視線にうんざりしていたよう。
買い物袋を隅っこに置くと、そのままわたしの横に腰を下ろした。
そして、今まで素性がバレないためにしていたサングラスをゆっくりと外す。
「……でも、正体バレなかっただけ大分マシでしょ?柊にぃが実はあの“柊 あさひ”だってわかったら、それこそ大パニックだよ」



