お弁当をわたしが届かない位置に避けながら、わたしとの口論で一枚上をいく目の前の変態は、とにかく器用。
しかも、こいつの身長は180cmを超えているのに対し、わたしの身長は153cm。
圧倒的不利。
さっきから右手も左手もお弁当にかすりもしない。
「前から思ってたけど、お前ってちいせぇのな」
───カチン
「……人が密かに気にしていることを、堂々と言うなっーー!!」
こいつは絶対人をイラつかせる天才だっ……!
わたしの頭の中にある桐谷 慎也という人物についてのファイルに、新たに“デリカシーのない失礼な男”という文字が追加された。
他には、
外見“だけ”が無駄にいい
意地悪でドSで腹黒で人をからかうのが上手い
自己中で俺様で思考がぶっ飛んでる
スキンシップの多い変態
などなど。
当たり前といえば当たり前だが、マイナス要素しかない。