ほんと、今までわたしにスランプというものが存在しなかったからとはいえ、多分今までの中で一番ピンチだと思う。
ただでさえうちは“色々”とあって大変なのに…
はぁ…最悪だ……
「うん、かなりぐっすり寝てたよ。ていうか、気持ちよさそうに寝息まで立ててたもん」
……マジか。
そりゃ起きないわけだ…
もしかしたら、わたしが自分で思っているよりも疲れているのかもしれない…
すると、それまで本を読んでいた沙莉がパタンと本を閉じて顔を上げた。
「……里桜。今日も誰も帰って来ないんだったわよね?」
「あ…うん…。明日には彩ねぇと柊にぃが帰ってくるって言ってたけど、今日はまだ誰も帰って来ないよ…」
だから、今日の二の舞にならないようにちゃんと目覚ましかけないと。
不安しかないけど、しょうがない。
みんな、仕事なんだから…



