それに、すでにわたしにはある“夢”があったから、当然その夢に向かって集中したかったし、二つを両立してやる自信も覚悟も10歳のわたしにあるはずがなかった。




『里桜が思う通りにすればいい』


わたしの夢を知っていた家族もみんな、口をそろえてそう言ってくれた。


そんなわたしが、なぜモデルをやっていたのか……




それは至って単純な出来事だった。


末っ子でお兄ちゃんばかりだったわたしにとって唯一のお姉ちゃん。


彩ねぇこと朝日奈 彩楓 (あさひな さやか) の一言。




『……なんかこの写真の里桜、輝いてる』




多分本人にとっては何気ない一言だったんだと思う。


それでもすごく大好きでわたしよりも何十倍も輝いている彩ねぇにそんな風に言ってもらえたことはとても嬉しいことだった。