……まあ、相手があのモデルの桐谷 慎也で、弱味を握られていてそれをバラさないための交換条件として付き合っていて、
さらには最初は顔を見るのも嫌がるくらい大嫌いだったのに、いつの間にかあいつに落ちていて、だけど鈍感だからそのことに本人は気づいてない、なんて言えるわけないわよね、ほんと。
あの子にはこんなこと、この先も絶対に言うつもりはないけど。
私は高校に入学して里桜があいつのことを大嫌いだとか言い出したときから。
もしかしたらいつの日か、あの子はあいつのことが好きになるんじゃないかって、朧げに思ってたのよね……。
もちろんこの場にいなかったわたしは、この三人の会話や沙莉の心の中の呟きなど知る由もない……───



