「…ごめん。ちょっと席外すね」
「え、里桜?」
スマホ片手にささっと席を立って、誰にも聞かれないように店内のトイレへと向かった。
となりの席に座っていた沙莉に聞こえるようにボソッと“海くん”とだけ呟いて。
「…もしもし?」
『あ、里桜。よかった、出てくれて…』
「…どうしたの?海くんが電話してくるなんて久しぶりだよね?」
「…あ、ああ。それが…時間がないから単刀直入に言う。その…里桜。……“ゆうみ”になってほしい」
…!?
さっきとは比べものにならないほど驚いたわたしは、思わずスマホを取り落としそうになった。
けれど、さっきあいつのことを考えていたときとは違って、それなりに頭が冷静に働いた。



