わたしはあいつについての人物ファイルを頭の中から引っ張り出してきた。
───でも。
でもね。
わたし……ちゃんと、知ってるの。
あの不気味な作り笑顔と初めて直接話したときの印象が悪いだけに、マイナスなイメージばかりのあいつだったけれど、それだけじゃないんだってこと。
わたしの手作りお弁当をじゅんんすいに喜ぶ可愛い一面や、わたしがかみなりを怖がっていたとき、なにも言わずにそばにいてくれた優しい一面だってあった。
───それに。
あいつの腕の中は……
不思議なほど心地良くて暖かかった。
きっと、本当に心の底から嫌な奴なら、そんなこと思わないはずだよね……って、待って待って。
これじゃ、まるでわたしがあいつのことを好きみたいじゃ……。
わたしはそこまで考えて一瞬思考が停止した。



