「桜?」 「あ、ううんっ。何でもない!そろそろ、帰ろ!」 「あ、でも…この後俺んち来て欲しいんだけど…だめ?」 私はもう息が苦しくなったけど、精一杯声を出した。 「ご…ごめ、ん…。無理、かも」 「そっか。じゃ、帰ろ」 奏は一瞬悲しそうな顔をした後、笑顔を向けてくれた。 無理に笑わないでよ…。 そんなの、奏じゃないよ…。 でも、傷つけたのは私だし…。