私と目が合うと、薄く微笑んだ。



不思議だ。
昨日、私を攫ってこんな所に連れてきたというのに、どこか安心出来る。




「真夜。昨日は勝手に連れてきてすまなかったな」



目線を合わせるようにして屈む彼が急に謝ってきた。



最初は迷惑でしかなかったけど、今は逆に安心してるので、謝る必要なんてない。



そう思って、私はフルフルと首を横に振る。





「帰る家、ないんだろ?」


あんまりその事は話して欲しくなかったが、昨日の夜、1人であんな所で座っていたので誤魔化しようがない。


諦めて私は小さく頷いた。