私にとって貴方は


その顔には『どうした?』と書いてある。





(私の…私の名前は…………)






「そんなもの、私には無いよ」





男が目を見開く。

そんな姿に私は苦笑する。





名前が無いのだ。

生まれてからあの人は名前を読んでくれなかったのだから。