私にとって貴方は

「ごちそう、さまでした」



朝ごはんを私が食べ終わったあと、男が嬉しそうに頭を撫でてくる。



「よく頑張った。美味しかったか?」



「うん…。すごく美味しかった。あんなもの食べたのは初めて…」




「そうかそうか」



男は更に嬉しそうな顔をして先程よりも強く撫でてくる。



その手は大きく、温かく、何故か嫌じゃない。

ずっとそうして欲しい。そう思うくらいには。




「そういえば、名前は?」



「……え?」



「お前の名前を教えてくれ」




男が顔を覗き込んでくる。