ぎゅっと両手で自分の太ももをつねって。

更に深呼吸をする。

「王子?」

不思議そうにカッチャンが声をかける。

「あのね、カッチャン」

「はい」

「あのさ・・・」

「はい?」

心臓がバクバクしすぎて。

思わずウッと気持ち悪くなる。

「もしかして、お腹すいてるんですか? 何か作りましょうか?」

「いや、お腹は…」

カッチャンが立ち上がる。

「遠慮しないでくださいな。作りますよ」

と、言って微笑んだ。


「カッチャンのことが好きだ」


立ち上がって。

やっと言いたかったことを言えた。

カッチャンは「は?」と口をあんぐりとさせて。

しばらく固まっていた。

「へ? 同情ですか?」

「何で、ここで同情するの! ちゃんとラブだよ」

「…ごめんなさい」

カッチャンは目をそらす。

「とりあえず、座ろう」

と言って、カッチャンをまた座らせて。

自分も座った。

「ごめん。一度振っといて、こんなこと言って。カッチャンを困らせて」

「……」

「カッチャンに彼氏出来たって聴いて、自分の気持ちに気づいたっていうか…」

カッチャンの目に涙が溜まっていく。

「俺、自信がなかったんだ。というか、今も自信なんてない。自分のこと嫌いだし。自分の過去だって受け入れられないし。自分の写真だって嫌いだし」

カッチャンをじっと見る。

「でも、カッチャンには自分の過去を知られていいと思った。だからアルバムを見せた」

「…はい」

鼻の詰まった声でカッチャンが返事をする。

「いつだったか、カッチャン俺のこと卑怯だって言ったろ? カッチャンはちゃんと自分と向き合って想い伝えてくれて…、だから、俺もちゃんと向き合って想い伝えたいって思った」

「…はい」

カッチャンの声が小さくなる。

「今更、ごめん」

頭を下げると。

「ごめんなさい」

と、自分以上にカッチャンが頭を下げた。

「嘘、つきました」