「つまんないの。彼氏とかデートとか恋とか興味ないの?」
「あると言ったらあるけど」
「本当?!」
「でも英梨とは全くベクトルが違うね」
「えーどういうこと?」

 私は確かに“恋”に興味がある。ただ、同年代が浮かれるような、青春チックみたいなものじゃない。
 恋とは何なのか、哲学みたいな興味だ。
 恋は落ちた瞬間ピンと来るのか、いつの間にか自覚しているのか。いつまで続くのか、永遠の感情なのか。

 まあ、こんなことを英梨に言っても理解してもらえないはずなので、私は適当に流す。

「色々ね。そんなことより英梨、先生に呼ばれてたんじゃなかったの?」
「あ」
「忘れてたの?」
「やばいやばいやばいっ!」

 本気で忘れていたらしく、英梨は焦りを露わにする。