「なぁに、凉くん」

凉くんに近づき、首をかしげる。

「これ、今年のプレゼントです」

凉くんが乃愛の手を取った。

左手の薬指に…冷たい感触。

見てみると、そこにはシンプルな指輪がはめられていた。

「…凉…くん…これ」
「ごめんね。これはまだ、安物だけど…いつかもっと豪華で乃愛ちゃんに似合う指輪を送るから…いつか僕のお嫁さんになってもらえますか?」

乃愛の目から涙がこぼれる。
大好きな凉くんからの指輪…。

こんな素敵なプレゼント、予想してなかった。

「なる…!凉くんのお嫁さんに…なりたい」
「っ…良かったぁ…」

胸を撫で下ろすように、凉くんが息を吐いた。

「断られたらどうしようかと…緊張しちゃったよ」
「断るわけないよ!凉くんありがとうっ…!」

乃愛は指輪をそっと撫でながら呟いた。

「大切にするね、この指輪…」
「…ん…ありがとう、乃愛ちゃん」

ちゅ、と凉くんがほっぺに口づける。
それがくすぐったくて、身をよじった。

目が合ってぎゅ、と二人で抱き締め合う。


16才のクリスマスは、未来を描くような…そんな素敵な思い出と共に過ぎていった。