雪が段々と大粒になってくる。
乃愛達はそれでもゆっくりと帰り道を歩いた。
少しでも長く一緒にいたいから。
「あ、自販機あるね…僕 何か買ってくるよ」
「乃愛ミルクティーが飲みたいな」
「了解」
凉くんがホットのミルクティーを買って、乃愛に渡してくれる。
「凉くんはコーヒー?」
「うん、好きなんだ」
「ブラックだ…凉くんカッコいい」
ブラックのコーヒーなんて、乃愛は苦すぎて飲めない。
凉くんはスゴいなぁ。
「乃愛ちゃん?飲まないの?」
温かくて美味しいよ。
凉くんがコーヒーを飲んでそう言った。
乃愛もキャップを開けてミルクティーを飲む。
甘くて安心する…凉くんといる時みたい。
…そうだ。
「凉くん、コーヒー苦くない?」
「んー…ちょっと苦いかな」
「…甘いの、欲しくない?」
「…今したら苦いよ?」
「乃愛は今、甘いから良いもん…ね、凉くん」
ちゅう、しよう?
上目使いで、唇を指差す。
凉くんの目が光ったような気がした。
―――じゃあ、お言葉に甘えて。
ちゅ…。
口の中で、甘いのと苦いのが混じりあう。
「…乃愛達、ちゅーばっかしてるね」
「…嫌?」
「んーん…大好きだよ」
「僕も、大好きだよ…乃愛ちゃんとのキスも、乃愛ちゃんも…」
「乃愛も!」
乃愛が笑うと、凉くんも笑った。
初雪の舞う中で、乃愛達はもう一度ちゅーをした。



