今年も文化祭の日がやってきた。

アタシ達3年からすれば最後の文化祭だ。

「誰だよコスプレ喫茶なんて面倒な物に決めた奴は…」

光が吸血鬼の姿に身を包み、黒いマントを気にしていた。

髪はオールバックにされていて、ワイルドさを感じる。

もちろん歯には作り物の牙が。

「似合ってんじゃん光!カッコいいって!」
「…お前のそれは?」
「シーツお化け!」

アタシは頭から白いシーツを被り、手をお化けのそれにして「うらめしや~」と光に近づく。

「それ、目元あけてないだろ…見えてるのか」
「いや、全然!シーツ被っただけだし」
「ったく…そこ座れ」

シーツで何も見えないので、大人しく光の言う通りに座る。

シーツをめくり、頭まで上げられる。

「こうすれば花嫁だな」

光がふっと笑った。

「―――え!?」
「…まぁでも、下に着てるのがジャージだと変か。お前やっぱり着替えろ、別のやつに」
「な、何でお前に決められなきゃいけないんだよ!こら、押すな!」
「衣装係、コイツのコスプレ頼む」
「こらぁ!勝手に衣装係呼ぶなぁ!」

首根っこをつままれながら運ばれるアタシ。
抵抗していると、アタシの耳元で光がボソッと呟いた。

「お前の花嫁姿を見るのは俺だけでいい」

その呟きで、アタシは大人しくなった。