「な…嘘だろ…」
「ワンパターンなんだよお前の攻撃は…」
コントローラーを握り呆然としているアタシの隣で、あくびをしながら光が言った。
「くっ…この!」
すぐさまバトルを続けて攻撃を繰り出す。
だけどそれはことごとく、光の操るキャラに届かない…。
その結果。
アタシは敗北した。
「さて…何でも一つ命令できるんだったな」
光がニコリと笑った。
アタシは恐る恐る光を見る…。
コイツ、一体どんな命令してくる気だ…!?
「…陽菜子」
「…な、なんだ!」
光がアタシの頭を撫でた。
「これから先も、俺のそばにいろ」
―――っ…!!
瞬間、体中がかぁっと熱くなる。
なんだよそれ…不意討ちすぎる!
光は今まで見たことのないような、優しい笑顔を向けてきた。
「返事は?」
「あ、あの…アタシ…」
―――アタシも、光のそばにいたい。
そう言うと、光は「こっちに来い」とアタシを引き寄せて…そのままキスをした。
顔が離れていく。
目と目が合って、もう一度キスをする。
光に抱き締められて、こういう時、アタシは幸せだって強く思えるんだ。
ゲームの画面では、お互いのキャラ同士が健闘をたたえて拍手をしている。
それはまるで、アタシと光の未来を祝福しているみたいだった。



