「それで何を読んでくれるんだよ」
「イタリア語の本だ」
「ふーん…」

光が本を開く。

「―――sei carina」

分かっていたけど、英語すら赤点ばかりのアタシにイタリア語が理解できるわけなかった。

「Molto carina」

混乱しているアタシに、光は尚も読み聞かせを続ける。

「Adorabile…Bella」

発音 綺麗だな…なんて思いながら、光の目を見た。

向こうもアタシを見ていて、ドキッとする。

そのまま、アタシを見つめながら光は口を開く。

「Sei come il sole……Grazie di esistere 陽菜子」

―――ん?


今、最後にアタシの名前がなかったか?

光が、柔らかくほほ笑んでいる。

「ひ、光…今のなんて言ったの?」
「それくらい自分で調べろ、馬鹿」
「いや教えろよ!」

どうせ光の事だから、悪口でも言ってたんだろうけどな!

ふと、アタシ達の右斜め前方に座っていた女生徒が、真っ赤になってこちらをチラチラうかがっていた。

…もしかしてこの子、今のイタリア語知ってるんじゃないか?

よし、あとで聞いてみよう。


その後、女生徒から教えてもらった光のイタリア語の意味に、アタシは赤面する事になる。

















最後のイタリア語の訳↓

Sei come il sole.Grazie di esistere陽菜子

意味…『君は太陽のようだ、生まれてきてくれてありがとう陽菜子』


間違ってたらごめんなさい…!