連れてこられたのは、先程 光が本を読んでいた窓際の席。

アタシが突っ立っていると、光がイスに座り手招きをした。

「ここ、座れ」

指で示されたのは、イスに座す光の、膝の上。

「は!?ば、バカ…そんなとこ座れるか!」
「ならお前はイスに座る気だったのか?」
「当たり前だろ!」
「そうか…本を読まないお前が、本を読む生徒のため設置されたこの席に座ろうとしていたのか」
「な…何が言いたいんだよっ?」

アタシがそう言うと、光がニコ、と笑顔を見せた。

「本を読むのは『俺』…それを聞くのが『お前』ならば、一人分の席で十分だろう?」
「そ、そんな理由で納得できるか!」
「嫌なら教室に戻れ」
「う…それは…」

ニヤニヤと笑みを浮かべながら、光がアタシを見ている。

散々 迷ったあげく、アタシは―――…。


「っ…これでいいかよ!」
「…ふ…馬鹿にしては賢明な判断だな」
「ほっとけ!」


―――アタシは、光の膝の上にちょこんと乗った。