「これが、ポップコーン…!」
「そんな珍しいもんじゃないからねーそれ」

おずおずと一つ、ポップコーンをつまんで口に入れる。

―――!

なんと美味しいのでしょう!

「祐二君、甘くて美味しいです!はい!」

一つつまんで祐二君の口に運びました。

いわゆる『あーん』の状態で。

「ん…キャラメルもいいじゃん」
「ふふ、ですよね…あ…」
「うん、ごちそうさま」

ペロリ、とわたしの指についたポップコーンのクズを舐めとる祐二君。

わたしが顔を赤らめていると…祐二君が「そろそろ行こうか」とわたしの手を引きます。

映画館の中は静かで、わたし達の向かうホラー映画の公開場所は、人の数もまばらでした。

「ここにしよ」
「はい」

中央の空いていた席に着いて、映画が始まるのを待ちます。

辺りが次第に暗くなり、いよいよ映画が始まりました。

しかし。

「わたし、暗いとすぐ眠くなっちゃいまして…」
「え、嘘?今、もう眠い?」
「ごめんなさい…少しだけ…」
「じゃあ、眠れなくしてあげよっか?」

―――え?