「はい、お粥ですよ~」
「へぇ、美味しそうじゃん…!」
「シンプルに梅粥にしました」
祐二君が寝た後、わたしはお台所を借りてお粥を作りました。
「ん…うまい…!」
祐二君が目を輝かせます。
「先輩は良いお嫁さんになるね」
「祐二君のですか?」
一瞬の沈黙。
わたしがキョトンとしていると、祐二君が小さく口を開きました。
「………弘の、かもよ」
「―――え?」
その言葉にわたしは耳を疑いました。
わたしが一弘君のお嫁さんに…?
祐二君のお嫁さんではなく……?
「今日、先輩と弘…久しぶりに会ったでしょ」
「はい、そうですね…」
「どうだった?弘はやっぱ、カッコいいでしょ?」
―――僕とは違って。
「祐二君…?」
「ねぇ先輩…僕で…本当に良かった?」
「―――っ!」
その言葉に、わたしは思わず祐二君を抱き締めていました。
「ちょ、ちょっと…先輩!?」
「わたしが好きなのは、祐二君です!」
「……せんぱ…」
「一弘君じゃなく、他の男性でもなく…!わたしの好きな人は祐二君だけですから!」
だから―――。
―――そんな悲しそうな顔をしないでください。
わたしの体を、祐二君の温かな腕が包み込みます。
「…ん、ごめん…風邪でちょっと不安になっちゃったみたい…でももう、大丈夫」
「祐二君…」
「僕、そんな好かれてるんだね…ありがとう愛美先輩、嬉しいよ…スゴく」
小首をかしげながら祐二君が笑う。
「改めて看病、お願いしても…いい?」
「…はい、祐二君。だってあなたは…」
わたしの、未来の旦那様ですもの。



