私は一弘の手を強く握りながら呟く。

「…いいよ…私…一弘なら…」
「無理してんなよ。震えてるだろ」
「震えてない!だって…」



だって一弘は、私の特別だから―――。



そう言って、私は真っ直ぐに一弘を見た。
一弘は目を見開いた後…くしゃくしゃと自分の髪を乱暴にかいた。

「優しくできるか分かんねぇぞ」

―――うん。

「俺も余裕ねぇからな」

―――いいよ。

「…後悔、すんなよ」

―――しないよ。


私はほほ笑んだ。
一弘はコツン…と自分のおでこと私のおでこををくっつけて、くくっと笑う。

「やっぱお前といると退屈しねぇよ」
「…うん…」
「今日は素直じゃねーか」
「…うん…」
「今から緊張してたら、体もたねぇぞ?」
「わ、分かってる…」

再び一弘と目が合った。
二人で顔を見合わせて笑う。

パレードのライトアップに照らされながら、私達はキスを交わした。