「んだよ…あかりか」
「一弘…それ、どうしたの?」
「あ…?あぁ、これか?」

一弘はクイッとソレを上げた。

黒く縁取られた眼鏡。

不良な彼のイメージと正反対のアイテムに、私は目を離せずにいた。

一弘がニィ…と笑う。

「なに?みとれてんの?」
「え…あ……」

私は否定しようとして…唇をきゅっと噛み締めた。

「…ん…」

顔を赤らめて、こくんと頷く。

だって、悔しいけど、眼鏡姿の一弘にみとれてたのは確かだから。

「……んな顔……」
「…え…?」
「んな顔…他の奴には見せんなよ」

一弘が私の頬に手を添える。

「ちょ…かずひ、ろ…?」

人に見られるよ…そう言えば、誰も見てねぇよと返される。

「で、も…」
「いいから、少し黙ってろ…」
「ん……」

優しくキスをされる。

角度を変えながら、少しずつ深くなっていくそれに、私はもう一弘しか見えなくなる。

「…好きだ、あかり…」


私も好きだよ…そう返す時には、勉強の事なんて、もう忘れてしまっていた。