旅人がいました。
旅人は野を歩き山を越え時には海を渡りました。

野に咲く花々に心癒やされる時もありました。
また、険しい道のりに心が挫けそうな時もありました。

それでも旅人は笑います。
「大丈夫。大丈夫」

風は静かに問いかけます。
「どうして、苦しい思いをしてまで旅を
続けるんだい?」

「ただ、世界を感じたいんだ」

と、旅人はまた笑顔で答えるのです。

厳しくも美しい。
自分が生まれ落ち、またいつの日か永い眠りにつく場所。
最期のときまで僕はきっと歩き続けるだろう。