新しく建てられたにしては薄汚れた壁の一階建ての建物。星彦は「こんなのいつできたんだ?」と首を傾げる。工事の話など聞いたこともなかったはずだ。

それでも興味が湧き、建物の中へと入る。建物はどうやらレンタルビデオの店らしく、新作の映画などが棚に並べられていた。

アニメ、洋画、ミステリー、ファンタジー、ホラーなど、ジャンル分けされた棚を星彦は順番に見ていく。しかし、自分の興味の引くものはなく映画コーナーからは出ることにした。

CDを見たり、漫画コーナーで立ち読みをしていた星彦はゲームコーナーがあることに気付き、目を輝かせる。

「面白そうなゲームないかな?」

新作のゲームは高いため、今星彦が持っている所持金では買えない。中古のゲームを星彦は見ていた。

「ん?これは?」

星彦が手に取ったのは、RPGと思われるゲームだった。勇者たちが悪人に奪われた宝を取り戻すというものらしい。

「それ、今ならタダであげるよ」