同じ顔の人間が二人いるところを見られるのは少しまずいと考え、まずは家に帰った。
ほとんど家具はなく、本とコンビニ弁当のゴミが散乱している部屋。
そこで同じ顔を持つ二人は向かい合った。

「で、研究はどうだ?まぁ結果は知ってるんだけどな」

「でも、お前がきてるってことは俺の研究は成功するんだろ?」

「まぁそうだけどな。でも、お前には期限があるだろ?それには間に合わないよ」

「でも、お前がきてる時点でタイムマシンが完成してるし、研究が続けられたってことだろ?お母さんが期限を延ばしてくれたとか?」

「いや、そもそも俺はそんな約束なんて母親としていない。俺はお前であってお前じゃない。お前と少し違う世界を生きたお前だ」
彼は呆然としているがそのまま彼は続けた。

「タイムマシンってどういうものかわかるか?過去に戻って過去とは別の行動を起こせば結果が変わる。そして、現代に戻るとその結果が反映されて世界が変わっているっていうのが通説“だった”」

「もう言いたいことわかるんだろ?」
彼は黙ったままだった
「タイムマシンを使っても、世界は変わらないんだよ。自分の世界は変わらないままその行動を写した新しい世界ができる。パラレルワールドってやつだ。俺はそのパラレルワールドの未来から来たお前だ」
「そしてお前の世界は俺が作ったようなもんだ」

「どういうことだ?」

「知りたいなら少し俺の話をさせてくれ」