「すみません、クリームソーダ2つ」。

席に着いてから10分程度経ち、今だに注文が決まらない男の子にしびれを切らしたのだろうか、男は店員を呼び出しそう言った。
好きなものを頼めと言ったのに勝手に注文した男に腹が立ったが、大好きなクリームソーダが目の前に出され、味を確かめるとそんなことはどうでも良くなった。

「でさ、聞きたいことがあるんだけどさ、今君には好きな子とかいるかな?」
突然の質問にクリームソーダを吹きかけた男の子だが、なんとか持ち直して答えた。

「すっ好きとかよくわかんないし、いないよ」

「そうか。でも、近くにいるとドキドキするって人はいないか?」

男の子は少し考えると思い当たる節があった。
頭が格段に良く、いつも本を読んでいるので近寄り難い雰囲気があり、クラスに馴染めていない彼だが、一人だけ熱心に話しかけてくれる女の子がいたのだ。
最初は読書の時間を邪魔され不快に思っていたが、一度試しに自分の知識を披露すると、興味津々に話を聞いてくれるため嬉しくなり。休み時間は彼女に得た知識を披露する時間となっていった。次第に彼は知識を披露できて嬉しいという感情以上に彼女に対して何か特別な思いを抱いていった。