男は下校中の子供達で溢れている小学校の近くに立っていた。

「どう見たって不審者だよなぁ」

男は帽子を深くかぶりながら通り過ぎて行く小学生の顔と持ってきた写真の顔を見比べていた。
１時間ほど経った頃、何やら分厚い本を持った男の子が校門から出てきた。大方、図書館で本を探して下校時間が遅れたのだろう。
男は２度、写真と顔を見比べると声をかけた。

「ちょっとお話しがあるんだけどいいかな？」

「おじさん誰？知らない人とは話しちゃダメって言われてるんだよ」

「おじさんは君の親戚なんだよ。ほらよく見て」

男の子は帽子を取った男の顔を見ると確かに数年前に亡くなった父の顔に似ているなと思った。

「で、何の用なの？」

「う～んと、ここでは話しづらいからあそこのガストに行かないか？好きなものを頼んでいいよ」

男の子は母親に言われたことを頭の中で反芻したが、ファミレスの誘惑には敵わない。
大人しく男の子は男についていった。